主催: (一社)日本家政学会
会議名: 70回大会(2018)
回次: 70
開催地: 日本女子大学(東京)
開催日: 2018/05/25 - 2018/05/27
目的 新茶とは一般に、88夜と称される5月初旬に摘採された茶のことで、これを茶壷に入れて京都愛宕山中腹や静岡県の大日峠山中に保存し、秋に取り出して徳川将軍に献上したものを熟成茶(秋だし新茶)と呼称している。このようにして保存された茶の味は、カドが取れて美味しくなると一般的に言われているところから、日本の代表的な茶産地の茶について検証するための実験を行った。
方法 試料は、鹿児島、京都、静岡、狭山の4地域として、それぞれの農家(10軒)から200gずつの茶を購入し、半分はそのまま-80℃で保存し、半分は静岡県大日峠山中に約6ケ月間、保存した。これを取り出して各地域10農家からの茶を合組して、分析用の試料とした。試料5gを熱湯200mlで3分浸出して濾別、急冷して実験に用いた。分析項目はカテキン、カフェイン、遊離アミノ酸、味覚センサーによる測定、香り、ESRによるラジカル、同位体元素とした。また、分析と並行して官能評価、色差系による茶葉の色の変化を測定した。
結果 ①茶のアミノ酸、カテキン、カフェインなどの呈味美成分については、熟成させることにより減少する傾向として示され、茶葉の色については茶葉緑色の黒味が増加しているのが認められた。味覚センサーの値は、山中と冷凍を比較すると、狭山においては差が認められなかったが、他の産地の試料においては苦み、うま味、味の濃さ、渋みの余韻に違いが認められた。