化石研究会会誌
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日本の鮮新─更新統の足跡化石概観
岡村 喜明
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2022 年 55 巻 1 号 p. 25-30

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抄録

 わが国最初の足跡化石の報告は,篠本二郎が長崎県北松浦郡佐々町江里免の中新世の地層から発見した三趾型の奇蹄類であると,1894年(明治27年)地質学雑誌第2巻第15号に記録されている.足跡化石は,それ以来,今日まで中生代と新生代の地層から徐々に発見され,報告されているが,体化石と比べればまだまだごく僅かと言える.
 1988年(昭和63年),滋賀県南部の鮮新世の地層からゾウ類,シカ類,サイ類,ワニ類の足跡化石が発見され研究が進み,国内の産地が急に増加してきた.2019年(令和元年)現在,日本の始新世,中新世,鮮新世,更新世の産地は約190箇所である.筆者は,過去32年間,国内の新生代の地層からの足跡化石を観察してきた.そして,足跡を残した動物はゾウ類,サイ類,シカ類,イノシシ類,ワニ類,鳥類,種類未確定の四趾型哺乳類であることを確認している.ここでは,その中の鮮新−更新世からの典型的かつ明瞭な足跡化石とその他の生痕化石を報告する.

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