化石研究会会誌
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特集・原著論文
山形県真室川町の上部中新統野口層産のマムロガワクジラ化石と共産するツキガイモドキ類を優占種とする化学合成化石群集
瀬戸 大暉 長澤 一雄
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2024 年 57 巻 1-2 号 p. 26-36

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抄録
 山形県真室川町に分布する上部中新統野口層から産出したマムロガワクジラ化石群の直上の層準からは,多数の化学合成二枚貝ツキガイモドキ類(Lucinoma sp.)が産出した.これらは,マムロガワクジラ化石群の上位で殻接合面が層理面にほぼ水平に密集した産状を示した.ツキガイモドキ類は,109 個体を計測し,合弁率が 98.5% に達する.また,占有率は 85.2% と他種に対して排他的に優占し,非化学合成二枚貝に対して 93.6% と顕著に優占する.ツキガイモドキ類の殻サイズを計測した.その結果,殻サイズが集中し,頻度分布が単峰形となる傾向が見られた.以上の化石の産状,合弁率および貝殻形態から,ツキガイモドキ類は,生息域から大きく移動しなかったが洗堀によって再配列された同相的群集と推定された.これらの状況は,この場所が化学合成二枚貝群集を涵養しうるのに十分な硫化水素を供給していたことを示唆する.以上から,マムロガワクジラ化石と共産したツキガイモドキ類は,浅海から運搬されたマムロガワクジラ化石群の頭蓋骨や脊椎に含まれた豊富な脂質から生成された硫化水素に依存した化石鯨骨群集であったと推定される.
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