2015 年 39 巻 2 号 p. 405-408
【目的】
内旋制限(内旋,水平内転,外転内旋,屈曲内旋)を有する症例に,内旋制限への授動術を行い,どの組織が断裂するかとその効果を調査すること.
【方法】
おもに内旋制限のある23例を対象に,検討項目は疼痛スコア(VAS),JOAスコア,可動域とした.初診時に内旋の授動術を行い,1週間以内にMRIを撮像した.
【結果】
平均治療期間は1.8ヵ月,VASは5.1→1.1に,JOAスコアは78→95に有意に改善した.内旋,水平内転,外転内旋,屈曲内旋も治療前と比べ有意に改善した.20例で烏口上腕靭帯(CHL)の断裂をMRIで認めた.
【考察】
関節窩の矢状断における烏口突起から棘上 • 棘下筋部のCHLの癒着によって,上腕骨の内旋制限が生じる可能性が考えられた.
【結論】
CHLは外旋のみならず内旋制限因子でもある.内旋授動術の成績は良好であった.