2017 年 41 巻 2 号 p. 415-419
Rockwood分類Type 5と診断された新鮮肩鎖関節脱臼に対し,烏口鎖骨靱帯の再建としてメタルスーチャーアンカーを用いたPhemister変法(four in one procedure:肩鎖関節脱臼の整復と内固定,上肩鎖関節包靱帯の修復,僧帽筋-三角筋膜の重畳縫合を併行)の術後成績を検討した.術後1年以上経過観察し得た34例34肩,手術時平均年齢38.1±13.4(SD)歳を対象とした.最終経過観察時の単純レントゲンにおける再(亜)脱臼は4例(11.8%),肩鎖関節の関節症性変化と烏口鎖骨靱帯の骨化は各10例(29.1%)であった.最終経過観察時の日本肩関節学会肩鎖関節機能評価法の平均は94.6±6.5(SD)点,Constantスコアの平均は92.1±5.1(SD)点であった.新鮮肩鎖関節脱臼に対する本術式は,鎖骨遠位や肩鎖関節周囲の正しい解剖学的知識と理解のもとで損傷した組織のすべてを安全且つ確実に再建出来るため,安定した術後成績が得られる有用な術式である.