2017 年 41 巻 3 号 p. 675-678
直視下Bristow変法術後筋力に関する報告では,筋力低下や回復不良の報告が散見される.本研究の目的は,鏡視下Bankart-Bristow変法(以下ASBB法)術後筋力の回復過程を調査し,鏡視下Bankart法(以下ABR法)と比較することで,鏡視下Bristow変法の筋力への影響を調査することである.また,ASBB法術後のスポーツ復帰時期の妥当性を検討することである.対象はASBB法術後6ヵ月まで筋力を計測可能であった13肩である.計測は屈曲(90度位),外転(90度位),下垂位内外旋,外転90度内外旋の等尺性筋力を算出し健側比を経時的に検討し,ABR法術後12肩と比較検討を行った.筋力はASBB法術後4ヵ月で外転90度外旋を除き,健側比90%以上の回復が認められ,ABR法との比較では有意差は認められなかった.ASBB法は術後筋力低下の原因とはならず,術後4ヵ月の競技復帰目標は妥当と思われ,早期復帰を希望するアスリートに有用な術式と考えられた.