肩関節
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炎症疾患
化膿性肩関節炎に対する治療経験
名倉 一成原田 義文乾 淳幸美舩 泰
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2018 年 42 巻 2 号 p. 543-547

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抄録

 化膿性肩関節炎に対する鏡視下デブリドマンと開放性ドレナージの治療成績を評価した.化膿性肩関節炎の診断で鏡視下デブリドマンを行い,ペンローズドレーンを留置した4例を対象とし,基礎疾患の有無,起炎菌,術中所見,合併症について検討した.基礎疾患は肝硬変,透析,慢性閉塞性肺疾患,糖尿病1例ずつで,起炎菌はMSSA, S.Aureus, G streptococci, S.agalatiae1例ずつであった.3例に腱板断裂を,術後に脳梗塞1例,化膿性脊椎炎2例を認めたが,感染の再燃はなかった.化膿性肩関節炎の治療は早期の病巣掻把並びにドレナージであり,鏡視下デブリドマンは関節内の徹底的な病巣掻把が可能で,術後ペンローズドレーンを併用することで早期リハビリが可能となり治療に効果的である.化膿性肩関節炎に対する鏡視下デブリドマンと開放性ドレナージは免疫機能低下した患者にも有効であった.

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© 2018 日本肩関節学会
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