2019 年 43 巻 2 号 p. 401-404
特発性側弯症における脊柱アライメントと肩バランスについてX線学的検討をした.特発性側弯症患者48例の全脊柱X線正面像におけるRadiographic shoulder height(RSH),Cobb角等を計測し,RSH 10mm以上をhigh shoulder(HS)群として2群に分けて検討した.その結果,Cobb角は2群間で有意差を認めなかったが,HS群ではcentral sacral vertical lineとC7 plumb lineの距離が有意に大きかった.また,HS群では高位になっている肩甲骨の上方回旋が大きかった.これらの結果から,high shoulderの発生には,側弯のカーブの大きさよりも冠状面アライメントのずれが寄与している可能性が示唆され,high shoulderは冠状面バランスをとるための代償性変化である可能性が考えられた.今後はCTを用いた3次元的な評価や術前後での評価が必要である.