2019 年 43 巻 2 号 p. 528-533
腱板断裂に対する骨孔(AT)法の臨床成績をスーチャーブリッジ(SB)法と比較検討した.ArthroTunnelerを用いて行ったAT法63肩とSB法43肩について,それぞれの年齢,性別,断裂サイズ,術後1年におけるJOAスコア,MRIにおけるcuff integrityを検討した.またさらに断裂サイズで分けて同様に検討した.平均年齢はAT法67.9 ± 9.6歳,SB法64.2 ± 8.5歳であり,AT法が有意に高齢であった.また性別はAT法は女性が39肩と多く,SB法は男性が28肩と多かった.不全あるいは小中断裂はAT法39肩,SB法29肩であり,大あるいは広範囲断裂はAT法24肩,SB法14肩であった.術後6,12ヶ月ともにJOAスコアは術式間での差を認めず改善し,断裂サイズの大小のどちらでも改善した.再断裂率は不全あるいは小中断裂においてAT法5.4%, SB法3.6%であり,大あるいは広範囲断裂においてAT法21.7%,SB法25.0%であった.AT法はSB法に比べ断裂サイズで分けてもおおむね同等に良好な臨床成績であった.