肩関節
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脱臼
関節窩骨折及び腱板損傷を伴った高齢者肩関節前方脱臼に対する治療経験
松村 惠津子吉村 英哉近藤 伸平日山 鐘浩野呂瀬 美生
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ジャーナル 認証あり

2019 年 43 巻 3 号 p. 712-715

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抄録

 高齢者の肩関節脱臼は腱板損傷と関節窩に骨欠損が生じることで肩関節前方不安定性を呈する.このような症例に対して我々の治療経験を報告する.対象は60歳以上の関節窩骨損傷と腱板損傷を認めた肩関節前方脱臼を呈した女性16名である.(1)鏡視下腱板修復術と鏡視下Bankart修復術を施行した3例は,術後1年時の日本整形外科学会肩関節疾患治療成績判定基準(Japan Orthopeadic Assosiation Score: JOAスコア)は62 ± 19点で全例に前方不安定性が残存し関節症変化を呈した.(2)鏡視下腱板修復術と烏口突起移行術を施行した7例は,JOAスコア52 ± 17点,再脱臼と亜脱臼位が残存し関節症変化を生じた.(3)全人工肩関節置換術は3例でJOAスコア56 ± 15点で再脱臼と腱板機能不全が残存した.(4)反転型肩人工関節術3例はJOAスコア86 ± 9点で特記すべき合併症を認めず良好な成績を得た.

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© 2019 日本肩関節学会
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