2019 年 43 巻 3 号 p. 753-756
スポーツ参加の有無によって肩上方関節包再建術の治療成績に違いがあるかを比較検討した.修復困難な腱板断裂に対して鏡視下肩上方関節包再建術を行った95例を対象とした.術前のスポーツ参加の有無により2群に分類し(あり24例,なし71例),肩自動可動域,JOAスコア,グラフトの治癒率を比較した.2群ともに肩上方関節包再建術を行うことにより肩自動可動域とJOAスコアは有意に改善した.術前の肩可動域とJOAスコアは2群間に有意差を認めなかったが,術後最大自動挙上角度はスポーツ参加症例において有意に大きかった(スポーツあり161度,なし146度).グラフト治癒率は2群間に有意差を認めなかった(スポーツあり96%,なし94%).今回の結果から術前にスポーツ参加していた症例は肩上方関節包再建術後の肩自動挙上角度が改善しやすいと思われた.また術前のスポーツ参加はグラフト治癒率に影響を及ぼさないと考えられた.