2019 年 43 巻 3 号 p. 811-814
前上方腱板断裂に対して,先に肩甲下筋腱を修復してから棘上・棘下筋腱を修復する従来法と棘上筋腱と肩甲下筋腱を同時に修復する方法との治療成績を比較検討した.前上方腱板断裂に対してsuture bridge法で修復を行った29肩を対象とし,従来法(A群)が16肩,同時修復法(B群)が13肩であった.JOA score,可動域,MRIによる再断裂率について評価した.術後のJOA score,可動域は両群間で有意差は認めなかった.MRIにおける再断裂率は,A群では棘上・棘下筋腱が31.3%,肩甲下筋腱が12.5%であり,B群では棘上・棘下筋腱が15.4%,肩甲下筋腱が0%であり,両群間に有意差は認めなかった.前上方腱板断裂の修復では必ずしも肩甲下筋腱を先に修復する必要はなく,断裂形態によっては棘上筋腱と肩甲下筋腱を同時に修復する方法は有用であると考えられた.