2019 年 43 巻 3 号 p. 849-854
過去にわれわれはbiceps-radial MRI(BR-MRI)による上腕二頭筋腱長頭(LHBT)病変およびpulley病変の有用性について報告してきた.今回われわれはBR-MRIによるスポーツ肩障害に伴うpulley病変診断の詳細について検討した.肩関節鏡手術を施行したスポーツ肩障害症例からHabermeyer分類group1-4を示した4例4肩を抽出した.BR-MRI所見と関節鏡所見を比較して特徴的所見を検討した.BR-MRIで関節上結節から結節間溝までLHBTおよびpulleyの連続横断面を追跡できるためpulley病変を診断可能であった.pulley病変の術前診断には造影MRIが用いられるが,BR-MRIは侵襲なく同程度の正確度を有する.BR-MRIは結節間溝入口部の描出力に優れており,LHBT不安定性およびpulley病変を有するスポーツ肩障害の微細な診断に有用と考える.