2020 年 44 巻 2 号 p. 405-408
凍結肩は自動挙上運動のみならず内外旋など多方向の運動が制限される.各運動方向の可動性の関連性は不明確であるため,凍結肩患者における自動挙上角度と関連する運動方向を検討した.凍結肩患者24例26肩を対象とした.可動域の測定は,自動挙上と他動での肩甲上腕関節の伸展,内転,水平内転と外転,下垂位および90° 外転位での内外旋とした.統計処理には重回帰分析を行った.自動挙上角度を説明できる変数として,他動の下垂位外旋と90° 外転位内旋が抽出された(p < 0.01).自動挙上角度の予測式は,挙上角度=0.86×{下垂位外旋角} +0.26×{ 90° 外転位内旋角}+89.58となり,修正済み決定係数(R2)は0.81であった.凍結肩における自動挙上角度の改善には,他動の下垂位外旋と90° 外転位内旋の可動域が関与する可能性がある.