火山
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桜島火山における爆発地震の震源過程と爆発的噴火の発生メカニズム
為栗 健井口 正人石原 和弘
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2002 年 47 巻 4 号 p. 197-215

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抄録

桜島火山において発生する爆発地震の震源過程を波形インバージョン法により明らかにし, 爆発時に観測される空気振動, 地盤変動と比較検討することにより, 爆発的噴火の力学過程の考察を行った. 爆発地震の初動は押し波(P相)であり, 振幅の大きい引き波(D相)が続く. 初動から2~3秒後に最大振幅を持つ低周波振動(LP相)が見られる. 伝播速度, 振幅の距離減衰, 振動軌跡から, P, D相はP波, LP相はレイリー波と考えられる. P相は深さ2kmにおける等方膨張, D相は円筒収縮によって励起される. また, LP相は火口直下0.3kmにおける等方膨張と水平収縮によって励起される. 火口直下浅部における等方膨張は空気振動とほぼ同時に発生すること, また, そのモーメントは空気振動の振幅と相関が見られることから, 浅部の等方膨張が空気振動を発生させていることが考えられる. 浅部の等方膨張と水平収縮から得られた変位量は爆発時に観測される伸縮計, 傾斜計の step から推定された変位量とほぼ一致することから, 浅部におけるガス溜まりの破裂およびガスの放出によって大振幅のレイリー波が発生していると考えられる.

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© 2002 特定非営利活動法人日本火山学会
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