2011 年 56 巻 4-5 号 p. 147-152
北海道南西部クッタラ火山,日和山潜在ドームの山頂火口の周辺には,小規模な水蒸気爆発の堆積物(Hy-a)が分布する.この堆積物は,直径30cm以下の新鮮〜変質したデイサイト質の石質岩片および細粒なマトリクスからなる.堆積物の層厚と最大粒径は山頂火口に向かって増大し,石質岩片は山頂火口の火口壁を構成する岩石と岩石学的な特徴が一致する.したがって,この堆積物は,日和山潜在ドームの山頂火口を形成した水蒸気爆発による噴出物であると考えられる.この堆積物は有珠山b降下軽石(Us-b)を覆うことから,山頂火口を形成した水蒸気爆発は1663年以降に起きたと考えられる.