風工学シンポジウム論文集
第25回風工学シンポジウム論文集
セッションID: 51
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断面辺長比B/D=2,4,6の矩形断面の自己励起型渦励振における後縁2次渦の役割
*松田 一俊加藤 九州男曹 納徳江尻 和史東村 諒也
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抄録

矩形断面から放出される渦は大別して,カルマン渦と自己励起渦(前縁剥離渦)の2種類がある.カルマン渦は,断面上面および下面から放出される剥離せん断層が断面後流域において相互に干渉し合う渦であるのに対し,前縁剥離渦は,断面の振動に伴って断面の上面および下面の前縁から剥離せん断層がそれぞれ独立に放出される渦である.自己励起型渦励振は,前縁はく離渦と後縁2次渦の一体化が原因と考えられており,断面辺長比B/D=2~8(B:断面幅,D:断面高さ)で発生することが報告されている.また,自己励起型渦励振の発現換算風速Vr=V/fD(V:風速(m/s),f:固有振動数(1/s))は,断面辺長比に依存し,例えば鉛直たわみ振動の場合,断面前縁で発現した前縁剥離渦が振動1周期または2周期で後縁に達する場合,Vcr,n=(1/n) ×1.67×B/Dより,それぞれVr=1.67×B/D(n=1),0.83×B/D(n=2)と表わされる.著者らは,断面辺長比B/D=2.0以下の空力的によりブラフな断面を対象にばね支持実験および流れの可視化実験を行った結果,自己励起型渦励振の発現を確認した上で,後縁2次渦は自己励起型渦励振の発現に必ずしも必要ないことを指摘した.ここでは断面辺長比B/D=2.0,4.0,6.0の矩形断面を対象に,始めにばね支持実験で基本的な自己励起型渦励振特性を把握し,その結果を踏まえて流れの可視化実験から得られる強制加振させた各矩形断面まわりに生じる前縁剥離渦と後縁2次渦の流れパターンから自己励起型渦励振における後縁2次渦の役割を考察した.B/D=2.8~6.0のカルマン渦励振と自己励起型渦励振の各発現風速が近接していることから,カルマン渦を抑制する目的で矩形断面の後流側にスプリッター・プレートを設置した実験ケースも行った.

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