抄録
早播栽培によって収量の安定化と後作の生産振興を図る目的で,大豆有望系統「四国31 号」の多収と早期収穫を可
能にするための栽培法について,作期と栽植密度の検討を行ったところ,子実重は,6 月25 日播きの栽植密度14.0本/㎡区において最も多くなり,また,6 月下旬以降に播種すると,標準栽培の「フクユタカ」よりも多収であった.成熟期は,6 月下旬播きでは10 月30 日となり,この時期の播種であれば,10 月内での収穫時期をクリアでき,後作の露地野菜や麦類の作業時期の拡大に貢献できる可能性が示唆された.また,「四国31 号」の外観品質は「フクユタカ」に比べて,中粒では低下しやすいものの,大粒では子実タンパク質含有率や外観品質が「フクユタカ」よりも優れた.ただし,「フクユタカ」に比べて”青立ち”が発生しやすく,播種時期が早くなるほど,栽植密度が密になるほどその傾向が顕著になったことから,今後は“青立ち” の発生要因を明らかにするとともに,その発生程度を軽減するような栽培技術の開発が望まれる.