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九州歯科学会雑誌
Vol. 63 (2009) No. 2 P 78-86

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http://doi.org/10.2504/kds.63.78

原著

Apolipoprotein E(ApoE)は生体内において脂質代謝に重要であり,最近,骨代謝にも関わっていることが示されている.ApoEはチタン周囲の骨形成時に多く発現し,チタン上の培養骨芽細胞に添加すると骨形成が促進することが明らかとなっているが,チタン上の骨芽細胞のApoE発現についてはまだよく解っていない.今回,われわれは,チタン,カバーグラス,培養デッシュ上での骨芽細胞のApoE発現について比較検討し,ApoEの発現する意義について考察した.
ラットもしくはマウス初代培養骨芽細胞様細胞とマウスの骨芽細胞株であるMC3T3-E1細胞をそれぞれの材料上で培養し,石灰化結節の形成量を調べるとともにApoEおよびオステオカルシン(OCN)のmRNA発現を半定量的RT-PCRならびに定量的Real-time PCRにて調べた.チタン,培養デッシュ上では石灰化結節の形成がみられたが,カバーグラス上では見られなかった.ApoEの発現もそれと同様にチタン,培養デッシュ上で認めたれたが,カバーグラス上では認められなかった.Real-time PCR解析でも,培養14,21日目ではチタン,培養デッシュ上ではApoE,OCNとも同程度の発現を示したが,カバーグラス上では,ApoE,OCNの発現はチタン上での発現と比較すると,ApoE(14日目:18%,21日目:29%),OCN(14日目:2%,21日目:12%)ともに低い値を示した.一方,MC3T3-E1細胞では通常の培養条件ではApoEの発現は認められなかったが,ApoE添加もしくは初代培養骨芽細胞様細胞のコンディションメディウムを加えた群ではApoEの発現が認められた.
以上より,初代培養骨芽細胞様細胞は骨形成を生じるときにApoEも発現して局所の脂質代謝に関わるとともに,骨代謝にも関わっていることが示唆された.この発現は,チタン上の骨形成に特異的ではないが,骨形成に石灰化中期および後期のApoEの発現が強く関わっていることが示唆された.

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