九州歯科学会雑誌
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原著
ラット下顎骨延長モデルにおけるSmadsの動態
山中 雅博吉岡 泉土生 学冨永 和宏
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2010 年 63 巻 5.6 号 p. 268-276

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抄録

Transforming Growth Factor-beta(TGF-β)スーパーファミリーはTGF-βやBone morphogenetic protein(BMP)などに大別され,骨折や骨延長法の骨形成に重要な役割を担っている.SmadsはTGF-βやBMPの細胞内シグナル伝達因子である.このうち特異型SmadであるSmad1,5,8はBMPのシグナルを,そしてSmad2,3はTGF-βのシグナルを伝達する.共有型SmadであるSmad4は特異型Smadと結合し,標的遺伝子の発現を誘導する.抑制型SmadであるSmad6,7は特異型Smadと共有型Smadの結合を阻害する.本研究では下顎骨延長モデルにおけるSmad,BMP,TGF-βの動態を明らかにするために,その局在と経時的変化を免疫組織化学的に検索した.
Wistar系ラットを用い,全身麻酔下に下顎骨骨切り後,自作の延長装置を装着した.5日間の待機期間の後,1日0.4mmで8日間(総延長量3.2mm)の延長を行い,待機期間終了後,延長開始4日後,延長終了直後,延長終了7日後,延長終了14日後に標本を作製した.連続切片を作製し,Smad1~8,BMP-2,4,TGF-βを免疫組織化学的に観察した.
その結果,Smad1,5,8とBMP-2,4の発現が類似し,Smad2,3とTGF-βの発現が類似していた.また,Smad1,2,3,5,8,BMP-2,4,TGF-βの発現は延長期間中に著明に認められたが,その後漸減した.逆にSmad6,7の発現は延長期間中には少なく,延長終了後に増加していた.延長終了後には抑制型Smadが優位に機能し,骨の成熟に関与していると考えられた.

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© 2010 九州歯科学会
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