抄録
顎口腔領域の外傷や脳震盪の予防と軽減のために,マウスガードの装着は有効な手段である.今回の研究は,172 名のスポーツ学部運動部員に対して,所属する競技種目を,マウスガード一部義務化群,マウスガード推奨群,マウ スガード義務化なし群に分類して比較検討した結果,以下のことが明らかになった.
1.マウスガードの使用経験,顎口腔領域の外傷経験,マウスガードの有効性の評価については,3群間において有 意な差が見られた(p<0.05).これらの3項目のスコアは,一部義務化群が最も高く,次いで推奨群,義務化なし群の順であった.
2.競技種目によってマウスガードの認知度や使用経験に差があることが示唆された.顎口腔領域の外傷予防策とし てマウスガードの啓発活動が必要である.
3.マウスガードの装着によって,会話がしにくい・呼吸がしにくいなどの問題点が示された.各競技種目の特性に 合った新しいマウスガードの開発が急務である.
4.バスケットボールとラグビーにおいて,顎口腔領域の外傷経験が多いことが示唆された.練習や試合時にマウス ガードの装着をさらに推奨すべきである.