抄録
九州歯科学会雑誌では、研修医や開業医・勤務医からの症例報告の投稿を積極的に奨励している。症例報告は、個別の臨床経験を共有することで、多くの医療従事者にとって貴重な治療指標となるだけでなく、将来的にはランダム化比較試験へと発展する可能性を秘めている。症例報告は、臨床現場での新たな知見や治療法の開発に寄与する重要な学術活動の一環である。本稿では、九州歯科学会雑誌への症例報告の投稿を目指す医療従事者に向けて、歯科疾患の診断および治療に関する症例報告を作成する際の具体的な注意点とガイドラインを提示する。まず、症例報告におけるインフォームドコンセントの取得方法および患者プライバシー保護の重要性について詳細に解説している。これらは、症例報告を行う際の基本的かつ必須の要件となる。次に、過去の症例報告論文を具体例として取り上げ、緒言、症例および考察部分において記載すべき重要な事項を具体的に示した。緒言では、報告する症例の背景と意義を明確にし、症例では、診断、経過、予後を客観的に述べる必要がある。考察では、症例から得られた知見を基に、臨床的な意義や今後の研究の方向性について論じる。本稿が、多くの医療従事者にとって症例報告作成の参考となり、質の高い報告が増えることを期待している。