解剖学は、ヒトの病状変化や疾患の有無を診る看護師などさまざまな医療専門職の教育で必要とされる基礎科目である。加えて、生物学と共に医療にとって不可欠な基礎科目であり、上記の専門職のための国家試験にも出題される。しかし、人体の基本構造を知るという点で非常に近い高校の生物学の知識の定着が十分でない学生もいる上、生物学を履修せずに物理・化学で受験した学生もおり、その知識には学生間で大きな隔たりがある。
筆頭著者は看護師養成大学において、解剖学・生物学の講義を担当してきた。その経験からガニェ9教授事象を参考にして、入学者のレディネスに合わせ、看護師養成大学の実情に合ったカリキュラムと授業を取り入れた。さらに、毎回小テストを行い、補習や個別指導を実施することにより、専門科目に対応できる学力を定着させることが出来た。解剖学の学期末の期末試験の成績では全体平均点87.3(SD 11.0、中央値81.0)と高得点であった。ここでは筆者らの解剖学での取り組みを中心に紹介する。