形態・機能
Online ISSN : 1884-6084
Print ISSN : 1347-7145
ISSN-L : 1347-7145
原著論文
看護系大学における解剖生理学教育の実態調査
向井 加奈恵山口 豪大島 千佳石田 陽子松田 友美竹野 ゆかり荒川 満枝
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 16 巻 1 号 p. 8-18

詳細
抄録

看護基礎教育における解剖生理学教育の実態を把握し、現状の課題及び今後の看護学の発展への方策を指向する目的で、解剖生理学教育科目に関してシラバスを基に整理した。

日本看護系大学協議会の会員校である4年制看護系大学253校を対象とした。2016年10月から12月の間にホームページ上で公開されているシラバス・時間割・カリキュラム・教員紹介ページをデータとして収集・情報を抽出し、科目名・履修時間・解剖生理学の分離・単位数・コマ数・解剖学実習実施の有無・科目担当者の属性の7項目について整理した。なお、シラバス等に十分な記載がないものは「不明」として処理した。各項目は全国、設置主体及び地域別に単純集計し、属性による教育の特徴を比較した。

解剖生理学は全国・設置主体・地域別いずれにおいても4割程度分離して教授していた。解剖学実習及びご遺体利用の割合は双方とも全国では3割程度であったが、国立4割強、公立3割、私立2割であった。また地域別の解剖学実習の実施割合は、九州・沖縄では4割を占める一方、関東は2割に満たなかった。ご遺体利用以外の実習は、組織標本の観察が8件、次いで骨格標本及び標本模型が各4件、動物解剖が2件であった。科目担当者の属性は全国で医師が4割を占める一方、看護師は1割に満たなかった。また、設置主体別の科目担当者の属性は医師が国立6割、公立・私立4割を占める一方、看護師はいずれも1割に満たなかった。これらより、解剖学実習の実施割合を高めること、また看護有資格者が科目担当者として教授できるように人材育成に力を注ぐことが望まれる。

著者関連情報
© 2017 コ・メディカル形態機能学会
前の記事
feedback
Top