2008 年 6 巻 2 号 p. 127-134
人体模型はヒトの立体的な構造を理解するためには非常に有用であるにもかかわらず、実際の講義ではあまり利用されていない。そこでこれらを有効に活用することを目的として、手元にある数種類の人体模型をパソコンを使って3次元的にデジタル化することを試みた。簡便に立体像を得るために、様々な角度から撮影した模型の画像から立体像を作成するソフト (Strata Foto 3D) を利用した。
心臓や脳の模型のように、全体的な外形が比較的単純で大きくへこむ箇所の少ない模型では、デジタル化による立体の再現性が良かった。そして模型表面の色や質感、あるいは細かな凹凸は、テクスチャーマップによってかなりリアルに再現された。一方、頭蓋内腔のように大きくくぼむ構造では、写真からの立体再現は不可能であった。このような大きなくぼみはテクスチャーマップによっても補完できなかった。
デジタル化された人体模型は、モニター上でリアルタイムに動かし、拡大縮小することが可能である。従って、使用目的に応じて模型を選択しデジタル化すれば、学生の立体構造理解に大いに役立つものと考える。