肺結核の早期診断のためには, 胸部X線写真撮影のタイミングを逃さないこと, および市中肺炎との鑑別が重要である。前者は市中肺炎の診療とも共通する事項である。また後者も同じく市中肺炎診療のなかで重視されるべき事項である。たとえば抗生剤投与により肺結核がマスクされることのないような薬剤選択が望ましい。また一般抗生剤の効果判定は抗酸菌検査のタイミングという点で重要であるが, 肺結核の場合非特異的な改善もありえるため臨床医へ注意を促すことが必要であろう。結核臨床医の立場から言えば, 市中肺炎診療のガイドラインはこうした肺結核を常に意識したものが望ましい。また一般臨床医の結核臨床の知識が少なくなっていく中では, 結核対策の立場からも有用であると思われる。