過去の結核罹患から回復したのちの長期にわたる結核再発率を検討するために, 1980~83年と1997~99年に入院した菌陽性結核患者 (それぞれ297名と688名) と非結核患者 (=コントロール群, それぞれ373名と1092名) の結核既往率を10歳年齢階層ごとに調べた。既感染率は年間感染危険率のモデルを用いて計算した。再発率と結核既往のない既感染者からの発病率の比は1910~19, 20~29, 30~39, 40~49年生まれにおいて1980~83年にはそれぞれ4.71, 2.33, 1.78, 1.11であり, 1997~99年にはそれぞれ1.84, 3.99, 1.80, 1.11であると計算された。この比は1910~19, 20~29年生まれにおいては約3, 1940~49年生まれにおいては約1で, 検討された2つの期間でほぼ一定であった。このことより充分化療された結核患者からの再発率は既感染者からの発病率とほぼ同じであり, 自然治癒した結核患者の再発率は既感染者からの発病率の約3倍であったと思われる。また少なくとも80歳までは高齢になるほど再発率が高くなる訳ではなく, 特に1910~29年生まれの既往者からの再発率が高かった。