結核
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小川法INH0.1μg/ml耐性株のプロスミックMTB-1法を用いた検討
吉多 仁子阿野 裕美石田 智恵子谷川 信子菊井 正紀高嶋 哲也露口 泉夫
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2002 年 77 巻 7 号 p. 533-535

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抄録

旧結核菌検査による結核菌薬剤耐性試験でINHは, 0.1μg/ml, 1μg/ml, 5μg/mlの3濃度が用いられ, 1μg/mlが耐性基準濃度とされていた。耐性基準濃度以下での0.1μg/ml耐性株は, 臨床的に耐性か感受性か一定の見解がなかった。そこで, われわれは小川法INH0.1μg/ml耐性株についてプロスミック法によるMIC値を測定し検討を行ったので報告する。対象菌株として1999年1月より2000年3月までに臨床分離された任意に抽出した115株を用いた。被検115株のMIC値を小川法分類により分布を示すと, 被検菌株は感受性, 低濃度耐性, 高濃度耐性の3グループに分かれた。小川法INH0.1μg/ml耐性株はMIC値分布図において低濃度耐性のグループに属していた。小川法INH0.1μg/ml耐性株のMIC値は, 平均4.53μg/mlであり, プロスミック法で耐性であった。小川法INH0.1μg/ml耐性株の区間推定値は, 95%の信頼区間で3.21~5.85μg/mlとなった。この値はプロスミック法の耐性であった。以上から小川法INH0.1μg/ml耐性株をプロスミック法からみた場合に耐性を示し, 臨床的に耐性として扱われていたことを裏付ける結果であった。

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© 日本結核病学会
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