結核
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肺結核の感染性評価に必要な喀痰集菌塗抹検査の回数
伊藤 邦彦
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2006 年 81 巻 5 号 p. 357-362

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抄録

〔目的〕肺結核の感染性評価における3回目の喀痰集菌塗抹検査の意義を推測する。〔対象と方法〕著者の所属する病院における喀痰結核菌陽性肺結核患者(2002年1月~2003年9月)の診断時3連続検痰を後ろ向きに検討し,3回日の喀痰集菌塗抹検査(蛍光染色による)の陽性率および陽性gradeを調査する。〔結果〕対象患者362症例中3回の検痰で塗抹陽性であった喀痰塗抹陽性肺結核は304例(84.0%),このうち3回目の集菌塗抹で26例(塗抹陽性肺結核中8.6%)が初めて塗抹陽性であった。2回目までにすでに塗抹陽性の278例で3回目の塗抹検査で最も高い塗抹gradeであったものは40例(塗抹陽性肺結核中13.2%)であったが,3回目の塗抹検査でそれまでよりも2grade以上高い塗抹検査結果であったものは6例(塗抹陽性肺結核中2.0%)であった。〔考察と結論〕本調査の結果と文献的考察から,集菌塗抹/蛍光染色による2回の喀痰検査の感度は以前の直接塗抹/Ziehl-Neelsen染色による3回の喀痰検査の感度と同等かそれ以上になるものと推測された。今後肺結核の感染性評価に必要な塗抹検査の回数について再検討していくべきである。

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