結核
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結核化学療法における維持期週2回間欠療法の効果と副作用
和田 雅子溝口 國弘奥村 昌夫御手洗 聡星野 斉之大森 正子内村 和広吉山 崇尾形 英雄
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2006 年 81 巻 5 号 p. 363-369

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抄録

〔目的〕間欠療法は,薬剤費が軽減できる,DOTを行いやすい,副作用が少ないなどの理由から世界各国で標準治療として採用されているが,日本ではまだ採用されていない。一般患者に対しDOTを行いやすくするため本研究を行った。〔対象〕初回治療菌陽性肺結核症患者で,イソニアジドとリファンピシンに感受性があり,初期強化化学療法を完了し,その後の維持期間欠療法に同意した者。副作用のために主要3剤(イソニアジド,リファンピシン,ピラジナミド)のいずれかが中止された例,全治療期間観察不可能の例は除外した。また同様の条件を満たす例で維持期間毎日自己服用した例を対照とし臨床諸事項を比較検討した。〔方法〕間欠療法は2HRZE/4H2R2または2HRZE/7H2R2とし調剤薬局でDOT下に服用,毎日療法は2HRZE/4HRまたは2HRZE/7HRとし自己服用した。〔結果〕135例が維持期週2回間欠療法,250例が毎日療法を行った。間欠療法群135例中11例が強化治療を延長したために治療成績の分析から除外した。124例の間欠療法の治療成功率は97.6%で毎日療法の95.6%と差はみられなかった。治療自己中断は問欠療法にはなく,毎日療法では3.2%が中断した。治療終了後の再発率は問欠療法で3.73/100人一年,毎日療法で1.76/100人一年であった。間欠療法中の副作用は135例中5例にみられたが,治療変更を要する副作用は2例(1.5%)にみられたのみであった。〔考察および結論〕調剤薬局薬剤師によるDOT下の維持期間欠療法は有効で,安全な方法と思われた。

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© 日本結核病学会
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