結核
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肝硬変に合併した結核症例の検討
齋藤 朗長山 直弘八木 理充大島 信治田村 厚久永井 英明赤川 志のぶ川辺 芳子町田 和子倉島 篤行四元 秀毅
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2006 年 81 巻 7 号 p. 457-465

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抄録

〔目的〕肝硬変に合併した結核患者の特徴を調べ治療方針について検討する。〔対象と方法〕1991~2005年に当院に入院した肝硬変合併結核患者44例の臨床的特徴を調査し,当院での治療経過を追えた25例については治療効果や抗結核薬の副作用について検討した。〔結果〕患者は中年男性に多く(平均60±13歳,男性/女性=39/5例),1糖尿病の合併が多かった(14例)。肝硬変の原因としてはHCV感染(17例)だけでなく,アルコール性(13例)の頻度が高かった。死亡率は41%であり,結核死(5例)よりも肝不全死(10例)が多かった。治療経過を追えた25例のうち,治療内容はINH,RFP,EBを含む処方が多く(22例),うち20例で副作用を認めた。内訳は白血球減少症10例,血小板減少症9例,ALT上昇1例,高ビリルビン血症3例であった。治療薬の変更や減感作療法で対応可能であり予後に深刻な影響を与えることはなかった。〔結論〕肝硬変合併結核患者では予後が悪く副作用の頻度も高い。ただしINH,RFP,EBを含む化学療法に耐用可能の場合は,副作用への適切な対応を行うことで治療完遂を期待できる。

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© 日本結核病学会
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