抄録
〔目的〕高齢者肺結核患者において,治療完遂不能を予測する因子を解明すること。〔対象と方法〕2000年6月から2002年2月の間に国立国際医療センターに入院した65歳以上の肺結核患者86人を対象とし,臨床的因子を調査し,多変量解析を用いて治療完遂を妨げる因子について検討した。〔結果〕単変量解析で12項日が選択され,相互に独立した5項目:Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)のperformance status(PS),薬剤耐性,低酸素血症,睡眠時間・糖尿病でモデルを構築し,多変量解析を実施した。その結果,高齢者で治療完遂を妨げる要因は,治療前のPSが高いことであった(oddsratio:0.41,95%信頼区間:017-0.98,p=0.04)。治療完遂できなかった10人についてその原因を調べると,1人は治療自己中断で,9人は治療中の死亡であった。〔考察〕高齢者で治療前の結核に関連した全身状態が悪いほど患者は治療が完遂できないことがわかった。PSは高齢者肺結核患者管理において重要な指標となる可能性がある。