2007 年 82 巻 12 号 p. 903-918
Mycobacterium avium complex(MAC)は容易にエアロゾル化し経気道的にヒト憾染,末梢気道や肺胞に定着し,その後,気道粘膜下に肉芽腫性病変を形成する。しかし,AIDS患者のような細胞性免疫の低下した宿主やブタのような動物では腸がprimaryの感染病巣であり,肺病変を認めることはあっても経気道感染は稀である。近年Thlカスケード内困子の遺伝的欠損宿主やIFN-γ に対する自己抗体高値の宿主でMACに対する感受性が高く全身播種することが明らかにされてきた。しかし,その播種性病変は,主に肺や軟部組織に形成されることから,その進展様式に関してHIV感染に伴う播種性MAC症とは異なる可能性が考えられる。本稿では,MAC症に関する近年の知見を通して,播種性MAC症の病態・進展機序に関して考察している。