顕微鏡
Online ISSN : 2434-2386
Print ISSN : 1349-0958
講座
シンドビスウイルスベクターを用いた新しい単一神経細胞標識法
―運動性視床核ニューロンの完全再構築を例として
倉本 恵梨子古田 貴寛日置 寛之藤山 文乃金子 武嗣
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 46 巻 2 号 p. 125-131

詳細
抄録

神経細胞は複雑に分岐する多数の突起―樹状突起と軸索を持つ.樹状突起は他の神経細胞から情報入力を受け,軸索は情報処理の結果を他の神経細胞へ出力するという重要な役割を果たしている.したがって,これらの突起を完全に可視化することは,神経細胞の情報処理メカニズムを解明するために欠かせない,基礎的なデータを提供するものと思われる.古くはゴルジ染色法により,近年では細胞内染色法が用いられ,様々な脳領域において単一神経細胞の形態解析が行われてきた.しかしながら長距離投射する神経細胞については再構築が非常に困難なため,完全には解明されてこなかった.本稿では,これまでの単一神経細胞標識法の欠点を克服すべく,当研究室で開発された新しい順行性トレーサーであるシンドビスウイルスベクターを紹介する.そして,その使用方法と単一神経細胞トレース研究の意義について,運動性視床核における研究成果を交えて解説を試みる.

著者関連情報
© 2011 公益社団法人 日本顕微鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top