顕微鏡
Online ISSN : 2434-2386
Print ISSN : 1349-0958
特集:体内時計のかたち
体内時計を用いた理想的な食生活作りのために
平尾 彰子柴田 重信
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2012 年 47 巻 2 号 p. 83-86

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抄録

我々の体内に存在する体内時計は約24時間の周期で毎日時を刻んでおり,体内時計は疾病の発症リズムや投薬治療に影響を与える.体内時計と薬の関係を調べる時間薬理学と同様に,体内時計と栄養・食の関係を調べる“時間栄養学”の重要性について解説した.栄養物の吸収・消化・代謝に関わる酵素のほとんどは体内時計の支配下にあるので,食事のタイミングで肥満が予防できうる.一方,規則正しい食餌のタイミングがマウスの時遺伝子発現リズムをリセットできた.食事の間隔では長い絶食後の給餌でインスリン上昇に伴って体内時計の食餌性のリセットが起こることを見出した.また,食事内容では消化しやすいデンプンの重要性を見出した.現代人の抱える病気の多くが,食事療法を必要としているのが現状であるため,我々はより,臨床応用が可能なモデルマウス作りを目指している.体内時計にやさしい食事パターンが健康維持,改善に役立つと考えている.

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© 2012 公益社団法人 日本顕微鏡学会
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