近年,走査型電子顕微鏡を用いた電子顕微鏡ボリュームイメージング法の普及により,生物組織の3次元微細形態解析が広く行われるようになってきた.しかし,生物試料は元来導電性やコントラストが低いため,走査型電子顕微鏡による観察の際に発生しやすいチャージング(帯電)や試料のダメージなどによるアーチファクトが大きな問題となる.こうした問題に対して,試料作製方法の開発や改良,電子顕微鏡内部での帯電を低減するための機器開発などが行われ,イメージングの際の帯電の防止,薄切・観察の際の試料ダメージの軽減,高シグナルノイズ比あるいは高解像度でのデータ取得などが可能になってきた.こうした技術のさらなる発展は,生物試料の3次元微細形態解析のスケール,質,およびスループットを向上させ,生命機能を支える構造情報のより深い理解につながると期待される.