日本健康教育学会誌
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訪問看護師が訪問した在宅療養者とその家族を支えるための看護実践内容の構成要素
質的調査による検討
冨安 眞理山村 江美子
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2009 年 17 巻 4 号 p. 260-267

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抄録

目的:経験年数の異なる訪問看護師が訪問した在宅療養者とその家族を支えるための看護実践内容の構成要素を検討すること.
方法:合意形成手法の一つであるデルファイプロセスを参考にして,3段階からなる質的調査を進めた.第1次調査では訪問看護6事業所に所属する訪問看護師19名を対象にフォーカスグループインタビューを行った.得られたデータは逐語録として記録し,訪問看護経験3年未満の新人および3年以上の中堅を比較して質的データ分析を行った.第2次調査では同事業所の訪問看護師27名に,分析結果を看護実践内容の項目とした質問紙を郵送し,同意の程度を尋ねた.第3次調査では第2次調査結果のフィードバックを添えた質問紙によって,同意率を測定した.合意に至ったことを示唆する同意率としては75%を採用した.
結果:第1次調査から,新人と中堅に共通した訪問看護実践内容の構成要素としては,【パートナーシップ形成】【自立支援】【看護判断】【経験的学習】の4領域9カテゴリーが抽出された.一方,中堅に抽出された【多職種連携】は,新人では該当しなかった.第2,3次調査の結果としては,【パートナーシップ形成】12項目,【自立支援】9項目,【看護判断】7項目,【多職種連携】9項目,【経験的学習】6項目の43項目の合意を訪問看護師21名から得た.
結論:訪問看護の経験年数が3年未満と3年以上の訪問看護師が提供する看護実践内容には,4つの共通点と1つの相違点が見出された.訪問看護師の学習環境を整備する際は,経験年数に応じた対応をすべきである.

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