日本健康教育学会誌
Online ISSN : 1884-5053
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原著
中高年女性労働者に対するフィードバック型リーフレットを用いた健康教育プログラムの効果
宮内 清子
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2010 年 18 巻 3 号 p. 186-198

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抄録

目的:本研究の目的は,中高年女性労働者に対して心身の健康のセルフチェック調査を行い,その個人データを基に作成したフィードバック型リーフレットを用いた健康教育プログラムによる介入が,健康関連QOLや抑うつ,更年期症状,役割負担感に及ぼす効果を検討することである.
方法:無作為化比較対照試験として,113名の中高年女性労働者を介入群57名,対照群56名に割りつけた.教育介入は,介入前調査におけるそれぞれの個人データをリーフレットに示してフィードバックする内容であった.評価は,健康関連QOLはmedical outcomes study-short form-36(SF-36),抑うつ尺度は,Center for Epidemiologic Study Depression Scale(CES-D日本語版),更年期症状(クッパーマン更年期障害指数),家事および仕事に対する役割負担感はvisual analogue scales(VAS) を用いて介入前と3ヶ月後に行った.
結果:介入群53名と対照群55名では介入による改善効果はなかった.しかし108名のうち抑うつ状態にある20名(介入群10名,対照群10名)では,健康関連QOL(SF-36)の「日常役割機能(身体)」で介入群が対照群に比べ有意な改善を示した(P=0.03).
結論:中高年女性労働者に対するフィードバック型リーフレットを用いた健康教育プログラムは,抑うつ状態にある人々の健康関連QOLを改善する可能性がある.

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© 2010 日本健康教育学会
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