日本健康教育学会誌
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資料
栄養教育実習の受け入れに関する自身の課題と必要と考えるスキルの検討
東京都の学校栄養職員と栄養教諭における横断研究
會退 友美関口 沙織赤松 利恵長幡(伊藤) 友実松田 充代伊能 由美子藤原 葉子
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2011 年 19 巻 1 号 p. 57-65

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抄録

目的:本研究は,栄養教育実習を引き受ける際,克服すべき課題の少ない者の特徴と課題が多い者が必要だと考えているスキルについて検討を行った.
方法:2008年11~12月,東京都の栄養教諭と学校栄養職員1,627名を対象に自己記入式質問紙調査による横断研究を実施した.質問紙では,教育実習に関して克服すべき課題としてあらかじめ設定した9項目について,4段階評価で回答を得た.その後,対象者を「課題が多い群」,「課題が少ない群」の2群に分け,実習を引き受ける際の課題が少ない者の特徴を調べ,課題が多い者自身が必要と考えるスキルを検討した.
結果:多変量ロジスティック回帰分析の結果,「課題が少ない群」には,栄養教諭免許を有している(オッズ比(OR): 1.51,95%信頼区間(CI):1.14- 2.01),15年以上学校栄養士として経験を積んでいる(OR:2.57,95%CI:1.95- 3.38),小学校で勤務している(OR: 1.38,95%CI: 1.04- 1.82)の3つの特徴がみられた.一方,「課題が多い群」は,授業を実践するスキル(p<0.001),学習指導案の立て方(p<0.001),食に関する指導(食育)の年間計画の立て方(p<0.001)などの教育的スキルを必要としていた.
まとめ:学校栄養士として経験を積むこと,栄養教諭の資格を修得すること,小学校で勤務することは,栄養教育実習を引き受ける際の課題が少ないことに関連していた.本研究の結果から,栄養教諭免許取得の重要性を周知させること,学習指導案の立て方など,教育方法について学習する機会を提供するための支援の強化が必要であると考える.

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© 2011 日本健康教育学会
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