日本健康教育学会誌
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実践報告
Well-being概念の可視化/言語化の試み
中村 譲治柏木 伸一郎筒井 昭仁西本 美恵子川上 誠松岡 奈保子岩井 梢岩男 好恵守山 正樹
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2011 年 19 巻 4 号 p. 342-348

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抄録

目的:Well-beingはWHOの健康の定義の中核をなす概念であるが,いまだ十分な整理がなされているとは言い難い.2011年に開催された第20回日本健康教育学会学術大会において,グループワークによるwell-beingを可視化,言語化する試みを行った.
方法:約100名の大会参加者をファシリテータ1名と参加者7~9名からなる13のグループに分けた.最初にグループワークの目的,方法が説明され,それぞれが考えるwell-beingのイメージをカードに書き出していった.作業はイメージが尽きるまで行われた.カードに記載された内容から意味合いを見つけ出し,似たもの同士を集め,用意された幹と枝からなる樹に整理しながら貼り付けていった.まとめられたカードには集合体としての見出しが付けられた.その結果,花が咲き,実を結んだ13本の樹が完成した.13本の樹に貼られた見出しは質的に整理,解析された.
結果:見出しは以下の5つの要素に分けられた.1) 体や健康に関すること,2) 現在の生活や社会基盤に関すること,3) 生きる上での潤いやゆとりに関すること,4) 家族や友人など人とのつながりに関すること,5) やりがいや生きがいなど精神的な充実に関すること.7つのグループが上記の5群の要素全てを含んでいた.6つのグループが5群の要素を含んでいた.また,12のグループが1) 体や健康に関すること,2) 現在の生活や社会基盤に関することを含んでいた.
結論:人々はwell-beingについて,生き生きとした積極的なイメージを抱いているようであった.この内容は従来の数量的な情報では得ることができないものであった.

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© 2011 日本健康教育学会
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