日本健康教育学会誌
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総説
職域における野菜摂取増加を検証した栄養・健康教育のシステマティックレビュー
澤田 樹美石原 孝子今井 具子吉野 佳織
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2012 年 20 巻 1 号 p. 3-18

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抄録

目的:職域を対象にした栄養・健康教育による野菜摂取増加をシステマティックレビューし,介入プログラム内容や行動科学理論を明らかにすること.
方法:データベースは,国内文献は医中誌とJdream II,海外文献はPubMedを使用した.オンライン検索は2010年1月までに出版された論文を対象とし,検索式は“野菜”,“職域”,“介入”を示すキーワードを組み合わせた.採択基準は1)無作為臨床試験(RCT)もしくは対照群をおく研究(CT),2)栄養・健康教育の領域,3)野菜摂取増減の検証,4)対象集団が勤労者,5)英語または日本語の記載とした.キーワード検索により,海外文献は134件を採択した.タイトルと抄録より82件の論文を除外し,フルテキストの精読により21件を抽出した.野菜摂取増加のアウトカムを評価するために評価指標を設けた.
結果:野菜摂取増加の評価をした結果10件が採択され,介入により野菜摂取の増加が認められたのは5件(増加量は0.18- 0.77SV,及び0.18cup)であった.5件の介入プログラムでは,情報提供だけでなく食堂改善や周囲の支援などを実施した環境プログラムと,ITを使用した教育プログラムであった.全てに行動科学理論が用いられており,4件にトランスセオレティカルモデルが使用されていた.
結論:野菜摂取が増加した介入研究は少なく,今後は効果的な介入プログラムの開発が必要である.また職域での栄養・健康教育を実施する際には,知識等の情報提供のみではなく,環境支援やITの使用も積極的に取り入れ,行動科学理論を適用することが望ましい.

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© 2012 日本健康教育学会
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