2012 年 20 巻 3 号 p. 221-232
目的:インターネット上の健康情報を適切に活用する能力であるeヘルスリテラシーを対象とした研究を概観することで,先行研究で用いられているeヘルスリテラシーの概念を明らかにし,eヘルスリテラシーを対象とした研究課題を特定すること.
方法:キーワードを英語“eHealth literacy”と“e-Health literacy”,“e-literacy”,“eHEALS”,“Health Literacy”
結果:採択基準を満たした18件のうち12件でLilyモデルに基づくeヘルスリテラシーの概念が引用されていた.12件のうちeヘルスリテラシーを主な研究対象としていた論文は9件あり,概念の提唱に関した論文が1件,評価尺度に関した論文が3件,実践的研究に関した論文が5件だった.
結論:多くの先行研究はeヘルスリテラシーをLily モデルに基づく概念で用いていた.今後の研究課題はLilyモデルにインターネット上で相互に情報交流ができる概念であるWeb 2.0を扱う能力も考慮したeヘルスリテラシーの概念となるように改良し,適切な尺度を用いて多様な属性における研究の蓄積が求められる.