日本健康教育学会誌
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実践報告
中年期以降の女性を対象とした3か月間のストレス緩和介入の効果
―アロマセラピー・有酸素運動・筋弛緩法を用いて―
上田 真寿美中田 智恵齊田 菜穂子堤 雅恵岡野 こずえ生田 奈美可木下 みゆき砂川 公美子亀崎 明子田中 満由美松田 昌子
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2012 年 20 巻 4 号 p. 276-287

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抄録

目的:現代,中年期以降の女性は従来とは異なるストレス環境下にある.ストレスや心身の不調を訴える者は増えているがストレス緩和やその実践方法に関する研究は少ない.このことから自分に合ったストレス緩和法を見つけ,実施できるようになる教育が必要である.そこで,本研究では自身でできるストレス緩和法(アロマセラピー,有酸素運動,漸進的筋弛緩法)を3か月間実施してもらい,実施前後のストレス指標の変化を検討した.
方法:35歳以上の女性46名を対象とした自己選択によるストレス緩和法を用いた介入を行った.すなわち,対象者をストレス症状の程度や本人の希望を参考にアロマセラピー群(n=12),有酸素運動群(n=12),漸進的筋弛緩法群(n=12)及び対照群(n=10)に分けた.各々の緩和法は3か月間実施され,群間及び介入前後の諸指標の変化を比較した.評価は,簡略更年期指数(以下;SMI),Quality of Life SF 36v.2(以下;QOL),心理的ストレス反応尺度(以下;SRS-18),血液より白血球数,血小板数,好中球数,リンパ球数,単球数,唾液よりクロモグラニンAを用いた.
結果:対象者の各緩和法の実施状況はアロマセラピー群の1名を除いて実施条件を満たしていた.SMIは筋弛緩群で介入により有意に低下した.QOLはアロマセラピー群で「全体的健康感」と「社会生活機能」,有酸素運動群で「身体の痛み」,「活力」,「日常役割機能・精神」,「心の健康」が介入前より介入後で改善されていた.SRS-18 は有酸素運動群で「無気力」が介入によって低下していた.血液中のリンパ球数が有酸素運動群で介入後に減少していた.
結論:3か月間の緩和療法によって更年期症状やQOLは改善され,特に有酸素運動群,アロマセラピー群でその傾向が強かった.ただ,嗜好の個人差もあり,自身に合った方法を選択・実践することも必要であると示唆された.

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© 2012 日本健康教育学会
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