日本健康教育学会誌
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特別報告
身体活動促進に関する集団戦略的研究
荒尾 孝
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2013 年 21 巻 2 号 p. 154-164

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抄録

目的:近年,国際誌上で報告された系統的レビューを基に,身体活動・運動の促進に関する集団戦略的地域介入のモデルとその効果について現状を把握する.
内容:身体活動促進を目的とした集団戦略的地域介入は,多様な関連領域から構成されるエコロジカル(生態学的)モデルに基づいて実施される.その代表的なモデルとして,環境と政策面からの介入を重要視したモデル,介入要因と評価要因から構成されたモデル,および戦略の開発段階と実施段階から構成されるモデルを取り上げた.次に,集団戦略として用いられる多様な介入手段を情報提供型,行動科学と社会的支援型,環境的・政策的整備型に分け,それぞれの効果と問題点について報告した.最後に,1995年から2009年までに発表された「身体活動促進のための集団戦略的地域介入研究」に関する系統的レビューの結果について,身体活動推奨値を基準とした場合,余暇時身体活動の推奨値を基準とした場合,および 連続データで評価した場合に分けて,それぞれ地域全体としての身体活動の促進効果について報告した.
総括:集団戦略的介入による地域全体の身体活動に対する促進効果については,一致した結果が得られておらず,現時点では明確な結論付けはできない.このことに対する明確な結論を得るためには,今後さらなる研究成果の蓄積が必要である.

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© 2013 日本健康教育学会
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