日本健康教育学会誌
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特別報告
健康生成論およびsense of coherenceに関する研究の動向と今後の課題
戸ヶ里 泰典
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2014 年 22 巻 1 号 p. 69-75

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抄録

目的:近年のIUHPEにおいて健康生成論(salutogenesis)とsense of coherence (SOC) に関する研究は一つの大きなトピックとなっている.そこで,第21回IUHPE世界会議における健康生成論とSOCに関する報告を整理・俯瞰し,当該領域における研究の動向と課題を探ることを本報告の目的とした.
方法:第21回IUHPE世界会議における健康生成論とSOCに関する各報告について,関連するシンポジウムおよびsub-plenaryセッションとその概要,一般演題における報告の概要と特徴,それ以外でみられた報告の概要と特徴,のそれぞれの観点で整理した.
結果:「Salutogenesis」関連の報告は8月26日の一日に集約されており,その名を冠するものはsub-plenaryセッション「健康生成論的アプローチにより非感染性疾患を減少させるために」1件と,社会的少数集団におけるSOCの検討に関するシンポジウム1件にとどまった.ただし,セッションタイトルにはないものの,ヘルスリテラシーに関するセッション,およびcapacity building,ヘルスプロモーション研究に関するセッションなどの中で報告が見られた.
考察:全体として健康生成論やSOCに関する報告は,単独セッションよりもヘルスリテラシーをはじめとした各分科会の中でみられ,IUHPEにおいては基礎理論の一つとして明確に位置づけられていた.欧州連合諸国のように,我が国におけるヘルスプロモーション・健康教育学領域において,健康生成論・SOCに関する研究・取組の位置づけを明確化していく必要性が伺われた.

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© 2014 日本健康教育学会
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