目的:特定保健指導を受けたが,減量に成功しなかった男性勤労者を対象に,その背景にある非成功要因について質的に検討した.
方法:関東の4つの職域健康保険組合が委託した機関において,特定保健指導を受け,6ヶ月後評価時に体重変化が1%未満であった者か増加が見込まれた者,計63名に研究協力を依頼した.同意が得られた36名を対象に,インタビューガイドを用いた約30分間の個別半構造化面接を実施した.分析は6ヶ月評価時の体重変化が基準を満たした28名を対象とした.逐語録を作成しグラウンデッド・セオリー・アプローチを参考に分析を行い,初回面接後の原因的条件として語られた内容別にカテゴリーをパターン化した.
結果:逐語録から,背景的要因として,【必要性を感じていない】,【仕事による強いあきらめ】,【制度への不信感】の3つのカテゴリーが抽出され,さらに原因的条件として【自分のこととして危機感を感じなかった】,【義務感】等,5つのカテゴリーが抽出された.非成功に至るまでのプロセスについて,いくつかのカテゴリーの重なりをパターン化したところ,7つの異なるパターンに分けられた.
結論:職域男性における減量の非成功要因について検討した結果,7つのパターンが示された.特に,原因的条件の【義務感】や【反発】,背景的要因の【制度への不信感】は,特定健診・特定保健指導に特徴的な要因であった.