日本健康教育学会誌
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短報
「保健指導対象者を取り巻く環境」への着目
―健診機関等保健師の運動指導における認知―
高波 利恵中田 光紀
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2014 年 22 巻 2 号 p. 123-132

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抄録

目的:世界保健機関によると,健康づくり支援の際,人々の認識や行動だけでなく,それを取り巻く環境に働きかけることが効果的である.本研究は個別保健指導での対象者を取り巻く環境への着目の重要さに対する保健師の認知と,保健師の背景との関係を特定することを目的とした.
方法:西日本7県の149名の保健師のうち,分析の該当基準に適合した83名を対象に横断的自記式質問紙を用いた横断調査を行った.調査項目は,1)環境と対象者の認識・行動への着目の重要さの認知,2)保健師の背景とした.これらの関連はχ2 検定とU検定を用いて分析した.
結果:「情報的環境」と「家庭の社会文化的環境」では,環境への着目を「重要」とした者が70%以上であった.しかし,「社会的環境」と「職場の社会文化的環境」では70%未満で,この結果は保健師の保健指導経験年数と関連がなかった.さらに,保健指導以外の支援機会が少ない者よりも,多い者の方に「重要」と回答した者が少ない結果が,「社会的環境」の3項目,「職場の社会文化的環境」の2項目で示された.
結論:健診機関等保健師において保健指導の際に「社会的環境」と「職場の社会文化的環境」に着目することは,「情報的環境」や「家庭の社会文化的環境」よりも重要とは認知されていなかった.この結果は,保健指導以外の支援機会が少ない者よりも,多い者の方で顕著に示された.

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© 2014 日本健康教育学会
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