日本健康教育学会誌
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特別報告
質的アプローチを用いた研究手法―健康教育分野への適用
大谷 順子
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2014 年 22 巻 2 号 p. 177-184

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抄録

抄録:質的手法は近年,社会学,心理学,教育学,人類学,健康科学,ビジネスのマーケティングリサーチなど,様々な分野で用いられるようになっている.一方で,質的手法にどのように取り組めばよいのか,あるいは,学術的に価値のある研究になっているのか,不安を抱えている.健康教育学分野においても例外ではない.そこで本稿では,はじめに,質的研究の方法論の基本について,まずは方法ありきでなく「はじめにデータありき」のアプローチで,量的との比較も交えながらまとめ,混合研究法も紹介する.つぎに,質的研究を上手に行うのに有用と思われる質的データ分析ソフト(QDAソフト)について紹介する.具体的な研究プロジェクトを進めていくときに参考になりそうな,参考文献も示す.教科書的な書籍と,具体例として参考になる論文である.質的研究においては,いろいろな参考文献を読み比べることが重要である.孤独な作業ともなりがちな研究をグループ作業として進める方法もまたあみだしてほしい.健康教育は,世界的にみても日本は進んでおり良い事例を多く持っている.健康教育分野でも,ますますの質的手法を用いた良い研究成果が発表されることを期待したい.

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© 2014 日本健康教育学会
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