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日本健康教育学会誌
Vol. 23 (2015) No. 3 p. 231-236

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http://doi.org/10.11260/kenkokyoiku.23.231

特別報告

目的:本稿では,社会における課題を改善するために,研究者が研究活動をとおして自治体の政策に影響を及ぼすこと,すなわち,研究者による自治体レベルのアドボカシーについて論じた.
内容:自治体レベルの政策立案とその自治体にある大学の研究者の距離は近く,研究者は自治体の政策立案のプロセスに関わることが多い.報告者は過去15年間の自治体の栄養政策への関わりをふまえ,2013年から新潟県の減塩政策を効果的なものにするため,県および市町村の行政栄養士等との体制を構築し,実態把握と分析,対策の立案と評価計画の作成をおこなってきた.具体的には,新潟県民の高塩分摂取となる食事の特徴を明らかにし,県と市町村の役割を明確にして,住民に対する教育アプローチと環境アプローチを企画してきている.長期的には,販売される食品が全て適塩になり,子どもの頃から旨味や素材の味がわかる味覚が形成され,食事全体の適切な料理の組み合わせを守りながら,減塩のストレス無く,おいしく「適塩」の食事ができるような方向性をめざしている.
結論:このアドボカシー活動は,ターゲットを絞った減塩対策につながった.それと同時に,行政栄養士と研究者の政策形成能力の向上とエンパワメントにもつながった.1つのアドボカシー活動が,次の政策立案にも影響し,継続的に発展できることが利点である.さらに健康的な公共政策づくり,民間事業者を含めた新たな主体づくりへ展開することが期待される.

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