日本健康教育学会誌
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障がい者スポーツコミュニティに属する成人肢体不自由者の望ましい食物摂取行動に関連する周囲の支援
辰田 和佳子稲山 貴代秦 希久子
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2016 年 24 巻 3 号 p. 141-149

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抄録

目的:自立/自律した肢体不自由者における食支援プログラム企画のために,良好な食物摂取行動と関連する周囲の支援内容を明らかにすること.
方法:東京都の障がい者スポーツセンターの利用者を対象に実施した無記名質問紙による横断調査から,成人肢体不自由者381人を対象に解析を行った.食物摂取行動の指標として食物摂取頻度得点,周囲の支援として家族や周囲の協力,仲間の有無,食物へのアクセスおよび情報へのアクセスに関する質問項目を用いた.食物摂取頻度得点を従属変数,周囲の支援内容を独立変数として,二項ロジスティック回帰分析にて男女別に解析した.
結果:男性では,良好な食物摂取行動は家族や周囲の協力(OR: 3.31,95%CI: 1.76-6.23),食物へのアクセス(OR: 2.15,95%CI: 1.19-3.88),情報へのアクセス(OR: 2.36,95%CI: 1.20-4.65)と有意に関連し,女性では仲間の有無(OR: 4.72,95%CI: 2.24-9.97)のみ有意に関連した.
結論:良好な食物摂取行動を目標項目とする食支援プログラムの企画にあたり考慮すべき周囲の支援は,男性では家族や周囲への食教育,食料品店や外食店での食物選択や情報活用につながる教材作成であった.女性では,仲間と一緒の参加または仲間づくりを促す学習形態であった.

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© 2016 日本健康教育学会
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